尺八奏者 川又霞山のブログ

尺八研究や活動記録など

尺八の指孔とダイナミクス

 大甲でなんか上手い出し方ないかなあと模索していたときに運指表が欲しくて泉州尺八工房のサイトを開いたところ、また9/18~からセールをするとの情報が!最大50%オフ。尺八コレクターの一面もある僕としてはまたついなにか買ってしまいそうです。。

 

shakuhachi.co.jp

 

 ホームページも新しくなってかっこよくなっていますね。ところで泉州の尺八といえば目を引くのはその指孔の大きさではないでしょうか。

 

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左から、3D尺八、容山銘泉州歌口、真山銘船明改作、泉州オリジナルA

 

 一番右の泉州オリジナルAは他に比べて明らかに尺八の全長も指孔も大きいですね。楽器性能としては一体何が違うんでしょうか?それはやはり、「音量・音質のダイナミクスにあると思います。

 

 泉州の尺八は入れることのできる息の容量が大きく、音量も音質も他の尺八より一段上の鳴りです。また、その音量の大きさだけが取り上げられがちですが、指孔が大きいことで小さい音もスムーズに抜けていくので、静かな演奏にも向いています。三塚さんや岩田さん、善養寺さんのように、音量・音質の強弱を自在に使いこなし、様々な尺八の一面を見せてくれる演奏が可能になります。これこそがダイナミクスが大きいということになります。

 

 一方で、ダイナミクスが大きすぎることで、十分な息量がない初心者・中級者の方にはちゃんと鳴らす、使いこなすことが難しい楽器ではあると思います。尺八が暴れ馬すぎて乗りこなすことができない、みたいなもんでしょうか。僕自身、オリジナルAがイマイチ鳴らせなくて泉州工房に持っていきましたが、工房の松下さんが尺八を手に取ってバリバリに鳴らしていたので、「あ、自分が下手なだけやん...」となっていました。。おかげ様で今はかなり鳴らせますし、鳴らせるようになるとそういうわけでメリットの方が大きい楽器ですね。

 

 

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で、でかい。。

 

 また、指孔が小さいことによって息の容量のリミッターがかかる音色感を好む人にも向いていないです。そういった尺八は音の音量や音色感に一定の安定性が生まれるので、こちらの方が好きという方は多くいます。それを生かした尺八の技巧による表現方法もたくさんありますからね。もし、ちゃんとした楽器性能を担保してそういう尺八を使いたい場合には、泉州オリジナルBやスタンダードタイプ、もしくは船明尺八工房や遠藤尺八工房の尺八などを購入すると良いかと思います。

 

 あと単純に指孔大きいと塞ぎにくいので女性には若干不利です。。基本的に指孔はちゃんと塞げないと鳴らないので。

 

 

 そういうわけで一本購入してみてはどうでしょうか?!ちなみに回し者じゃないですw(2回目)